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所有者不明土地・建物管理命令制度の創設(令和3年民法・不動産登記法改正シリーズ)

2023/05/30

制度の概要

令和3年民法・不動産登記法改正によって、所有者又はその所在を知ることができない土地又は建物のみに特化して管理処分を行う所有者不明土地等管理制度が創設されています。
 
これまでも、所有者不明状態となっている不動産を管理等するための制度として、「不在者財産管理制度」等がありましたが、この「不在者財産管理制度」では、問題となっている土地等だけでなく、その不在者(分かりやすく言うと「行方不明者」)の他の財産を含めた全財産を管理することになり、予納金額が高額になりかねない等の問題が指摘されていました。

これに対して、今般、創設された「所有者不明土地等管理制度」は、問題となっている土地等のみを対象に、この不動産の管理・処分等を目的として申立てができるとされています。

 

申立権者

所有者不明土地等管理命令は、その不動産の管理に対する「利害関係人」が申立をすることができるとされています。

この点、民間の購入希望者についても、その購入計画に具体性があり、土地の利用に利害があるケースなどでは、利害関係人と認められ得ると解されています。

あくまで私見ですが、例えば、デベロッパー(開発業者)が複数の土地を購入して開発を進めている状況において、開発対象の一部に所有者が不明な土地があるようなケースでは、その民間の買受希望者(デベロッパー)も「利害関係人」に当たるものと考えています。

 

所有者不明土地等管理人の権限など

所有者不明土地等について、利害関係人から所有者不明土地等管理命令の申立てが適法になされると、裁判所によって、所有者不明土地等管理人が選任されます。

これは、弁護士や司法書士が選任されるケースが多いものと考えられています。

この所有者不明土地等管理人は、その土地等の管理権限を有することになり、裁判所の許可を得れば、売却等の処分行為を行うことができます。

なお、管理する不動産を売却する際に、当該不動産に設定された抵当権の負債の弁済して、その抵当権を抹消するようなことも、裁判所の許可を得れば可能と解されています。



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