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相続が関連する土地の時効取得(親や祖父母が過去に取得した土地名義が変更されていない)

2023/09/01

はじめに

当事務所は、相続事案を多く取り扱っており、また、登記の専門職である司法書士との共同事務所という特色があることから、「相続が関連する土地の時効取得」の事案を多く取り扱っています。
解決事例「時効取得者側と所有権名義人側の双方に相続が発生している土地を時効取得した事例」
解決事例「30年以上前の買取りを理由に土地の名義変更に成功した事例」

この「相続が関連する土地の時効取得」の事案は、多くの場合、弁護士の専門領域である訴訟(裁判)と、司法書士の専門領域である不動産登記(土地の名義変更)が複雑に関係し、その両方の知識・経験が必要となります。

本コラムでは、当事務所で過去に解決した「相続が関連する土地の時効取得」の典型例(過去に取得した土地について、何らかの理由で名義変更がされておらず、相続が生じてしまっているケース)の解決方法などをご紹介いたします(もう一つの典型例(土地の登記簿に所有者の氏名のみが記載され、所在不明のケース)はコチラをご覧ください)。


 

典型例(親又は祖父母が過去に取得した土地について、何らかの理由で名義変更がされていないケース)

この典型例は、親(父母)又は先々代(祖父母)が取得し、使用してきた土地の登記名義が旧所有者から変更されておらず、旧所有者側にも相続が発生している(旧所有者が亡くなっている)というケースになります。

上記ケースで、先代(父や母)や先々代(祖父母)が土地を取得した原因は、売買(買った/購入した)、贈与を受けた(無償でもらった)、別の土地と交換した、など、様々な理由がありますが、なぜか、登記名義が変更されていません。

このようなケースでは、現在の土地利用者側(典型は、その土地上に建物を建てている方)にも、旧所有者側(登記簿の所有者名義人側)にも、それぞれ相続が生じている(その当時の当事者が亡くなっている)ことが多く、当時の事情がよく分からない、また、名義変更登記をしようにも、それぞれ相続が発生してしまって、相続人が大勢いるために、自力での登記申請(名義変更)ができないという状況が考えられます。

上記のようなケースでは、やはり、訴訟(裁判)手続きを利用し、判決書を使って、登記申請(名義変更)するしかないことになります。

なお、「訴訟(裁判)」と聞くと、大抵の方が驚かれますが、この場合の訴訟(裁判)は、土地の名義変更のためにどうしても必要な「手続き」になります。

多くの場合には、訴訟を提起する際に、弁護士から被告になる皆様へ、丁寧なお手紙を送って事情を説明し、「訴訟を起こしますけれども、これは登記手続(名義変更)上、どうしても必要な「手続き」であって、全く感情的なものではないので、どうぞご理解ください。」とお伝えすると、ほとんどの方が納得されます。

不動産の名義問題でお困りの方は、勇気をもって一歩を踏み出しましょう(当事務所では、弁護士と司法書士が全力で問題解決に挑みます。)。


 

訴訟(裁判)手続きについて

実際の訴訟(裁判)については、前述の土地の取得理由(購入した/贈与を受けた等)の立証が可能であれば、その理由をメインで主張し、所有権移転登記請求訴訟を行います。

取得の理由の証拠(売買契約書や贈与契約書)が全くない場合などについては、併せて、土地の時効取得も主張していきます(例えば、「仮に、この土地を買ったことが認められなくても、既に占有して10年(又は20年)が経過しているため時効により取得できる」という主張)。

上記の主張が認められれば、裁判所による土地の所有権移転登記を命じる判決がなされます。

なお、この訴訟(裁判)の提起にあたっては、判決が出た後に、本当にその判決書の記載で登記申請(名義変更申請)が登記所で受理されるのか、という点を慎重に検討して、訴訟を提起する必要があります。

つまり、本ケースでは、原告側にも被告側にも、相続が生じている(その当時の当事者が亡くなっている)ケースが想定されていますので、事前に相続の登記を申請する必要があるのか、訴訟の主文の記載内容はこれでよいのか等、について慎重に検討が必要であり、安易に訴訟を起こすと、判決が出ても、その判決書では登記ができないという事態も想定されるのです。

通常の弁護士事務所では、別の司法書士事務所に訴訟提起前に相談をして、判決が出た後に登記が間違いなくできるのかということを確認する必要があります。

この点は、実は、とても難しい点なのですが、当事務所は弁護士と司法書士の共同事務所(代表弁護士が司法書士)ですので、事務所内にて迅速に検討を進めることができます。

 

登記申請手続き(名義変更)

訴訟(裁判)で、判決書を得た後に、この判決書を用いて、登記申請(名義変更)手続を行います。

通常の弁護士事務所では、この登記申請は、別の司法書士事務所に外注に出すことが多いのですが、当事務所は、弁護士と司法書士の共同事務所ですので、この登記申請もワンストップでスムーズに行うことができます。


 

最後に

本コラムでは、「相続が関連する土地の時効取得」の典型例(過去に取得した土地について、何らかの理由で名義変更がされておらず、相続が生じてしまっているケース)の解決方法をご紹介しました。

土地の名義問題は、そのまま放置していても何の解決にもならず、次世代に重大な問題を先送りするだけになってしまいます(少しでも事情がわかる今の世代の方が解決しないと、次世代ではさらに解決が難しくなります。)。

「相続が関連する土地の時効取得」の問題でお困りの際には、是非、当事務所へご相談ください。

もう一つの典型例(土地の登記簿に所有者の氏名のみが記載され、所在不明のケース)については、こちらをご覧ください。

なお、税金問題は、税理士へのご相談をお勧めいたしますが、土地の時効取得の場合には、一時所得として所得税の課税対象になることに注意が必要です(その他、不動産取得税や、登記申請時に登録免許税がかかります。)。


◇ 横浜で相続問題・遺言問題に強い弁護士をお探しなら、当事務所へご相談ください!
  ご予約はTEL(045-594-8807)又はメール予約をご利用ください。


 

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