相続人が不存在の場合の手続/相続財産管理人の手続き

2021/07/20

はじめに


今回は、亡くなった方(被相続人といいます)に、相続人がいない場合の手続きについて、解説させていただきます。

まず、そもそも「相続人がいない」ということがあり得るのか、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、被相続人の親族関係が次のような場合には、被相続人には、「相続人がいない」ということになります

① 配偶者がいない
② 子・孫(直系卑属といいます)がいない
③ 両親や祖父母(直系尊属といいます)も亡くなっている
④ 兄弟もいない(兄弟の子もいない)

※ 上記全員が相続放棄した場合も同様

このように「相続人がいない」場合で、相続財産が存在する場合には、利害関係人等が家庭裁判所(被相続人の最後の住所地の家庭裁判所)に「相続財産管理人の選任申立て」を行い、家裁に相続財産管理人を選任してもらい、相続財産の精算を行ってもらうことになります。

 

相続財産管理人選任申立の申立権者(利害関係人とは?)


では、この相続財産管理人選任申立の申立権者といわれる「利害関係人」は、どのような方をいうのでしょうか。
この「利害関係」は、法律上の利害関係を有する者と解されており、例えば、次のような方が「利害関係人」にあたります。

ア 相続債権者・担保権者(被相続人に対して、債権を有する者)

イ 成年後見人であった者(被相続人の成年後見人であった者)

ウ 特別縁故者であると主張する者

エ 事務管理者(遺産について事務管理を行っていた者)

オ 受遺者

 

予納金の問題について


相続財産管理人には、高度の法的知識・経験が求められますので、通常は、弁護士等が選任されます。

相続財産管理人に選任された弁護士等の費用が必要となりますので、相続財産の内容から相続財産管理人の報酬や管理費用の財源が見込めない場合等には、申立の段階で申立人が予納金を予納することになります。

なお、東京家庭裁判所では、事案に応じて、申立人に対して、50万円~100万円の予納金の予納を求めているとのことです。

 

相続財産管理人選任後の手続き


1.相続財産管理人の選任公告(2か月)

相続財産管理人選任後、家庭裁判所は、遅滞なく、相続財産管理人選任の公告を行います。
選任された相続財産管理人は、相続財産に関する財産目録を作成し、家庭裁判所へ提出します。


2.相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告、催告(2か月)

選任公告後、2か月が経過しても相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産管理人は、全ての相続債権者・受遺者に対して、2か月以内に請求申出をすべき旨を公告します。なお、相続財産管理人は、知れている債権者・受遺者に対しては、個別に申出を催告します。

なお、ここで明らかになった債権者等に対しては、相続財産管理人は、法の規定に従い、弁済等を行います。


3.相続人捜索の公告(6か月)

上記の請求申出期間満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、相続財産管理人は、家庭裁判所に対し、相続人捜索の公告を申立てをし、家庭裁判所が6か月以上の期間を定めて、相続人捜索の公告を行います。


4.特別縁故者の相続財産分与の申立て

上記の捜索公告期間満了後3か月以内に、「自分は被相続人の特別縁故者」に当たると主張する方は、相続財産の分与を求める申立てを行います。

実際に、特別縁故者に対して、相続財産が分与されるか否かは、家庭裁判所が決定(審判)します。
(この特別縁故者については、別のコラムに記載したいと考えております。)


5.共有者への持分の帰属

特別縁故者にも分与されない相続財産があり、これが共有持分である場合には、その共有持分は、他の共有者に帰属することとされています(民法255条)。


6.残余財産の国庫への引継ぎ

以上の手続きを経て、残余財産があれば、相続財産管理人は、これを国庫に引継ぎ、業務を終了することとなります。

 

最後に


以上が、相続人が不存在の場合の相続財産管理人の手続の概略になります。
相続人ではないが、相続財産の分与を受けることができる特別縁故者については、別のコラムで解説させていただきます。

相続人不存在の問題でお困りの場合には、是非ご相談ください。


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