相続人が不存在の場合の手続/特別縁故者への相続財産分与手続

2021/10/19

はじめに


民法958条の3では、相続人が不存在の場合、「家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」と規定されています。

この制度を、特別縁故者への相続財産の分与といい、相続人がおらず本来は国庫へ帰属する遺産について、被相続人と特別の縁故があった者がいる場合には、その特別縁故者へ遺産たる財産の全部又は一部が分与されることとされています。

 

手続きの概要


相続人が不存在の場合には、相続財産管理人が選任され、各種公告や相続財産管理人による債権者への弁済等の手続きが行われます(これらの手続きに関しましては、コラム「相続人が不存在の場合の手続/相続財産管理人の手続き」ご参照)。

自身を「特別縁故者」であると考える方は、相続開始地の家庭裁判所に対して「特別縁故者に対する相続財産の分与の審判」を申立てます。
亡くなった方と強い結びつきがあり、申立てをすれば特別縁故者と認められる者であっても、申立てなくして自動的に財産が分与されるわけではないので、注意が必要です(財産分与を求める場合には、必ず、「特別縁故者に対する相続財産の分与の審判」の申立てをする必要があります。)。

また、この申立ては、民法958条の「相続人の捜索の公告」(6か月以上の公告)期間が満了した後、3か月以内に行わなければならない、という規定になっていますので、この申立期間にも注意が必要です。


 

どのような者が「特別縁故者」と認められるか


それでは、相続人不存在の場合に、遺産の分与が認められる「特別縁故者」とは、どのような方のことをいうのでしょうか。

前述の民法958条の3の規定では、特別縁故者の例として、「被相続人と生計を同じくしていた者」(生計同一者)と「被相続人の療養看護に努めた者」(療養看護者)が挙げられています。

例えば、同居して暮らす内縁の配偶者や、戸籍上は養子になっていない事実上の養子、継親子等が典型例とされています。

なお、生計同一者や療養看護者は、あくまで例示に過ぎず、昭和46年5月18日大阪高裁決定においては、生計同一者・療養看護者に準ずる程度に被相続人との間に具体的かつ現実的な精神的・物質的に密接な交渉のあった者で、相続財産をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に特別の関係にあった者は、特別縁故者にあたるとされています。

したがって、被相続人が相続人なくして亡くなった場合に、その方と極めて強い結びつきがあった方については、「特別縁故者に対する相続財産の分与の審判」の申立てを検討してみるべきといえます。


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