相続人が枝分かれ式に増えてしまう状況(代襲相続と数次相続の違い)

2023/08/28

はじめに

相続手続き(特に不動産の登記手続き)を長年、放置すると、さらにその後の相続が発生し、相続人が枝分かれ的に増えてしまう状況があります。

そんなことがあるの?とよくご質問をいただきますので、本コラムでは、この点について解説させていただきたいと思います。

 

「代襲相続」といわゆる「数次相続」

相続の問題を解決するためには、まず、誰が相続人であるかを確定する必要があります。
これは通常、亡くなった方の戸籍謄本をたどって、相続人を全員見つけ出すことから始まります。

ある方が亡くなって、その相続人全員がすぐに遺産分割協議を行い、遺産である不動産の名義変更(相続登記)をすれば問題ないのですが、この遺産分割協議を長年、放置すると、さらにその相続人が亡くなってしまい、その相続人が遺産の権利をさらに承継していきます。

これは、代襲相続とは違い、一般的に「数次相続」と言われます。
「代襲相続」は、被相続人が亡くなる「前」に相続人が亡くなっている場合を言います。数次相続とは、被相続人が亡くなった後に、その相続人がさらに亡くなるケースを言います。)

 

数次相続の例

例えば、土地をもっているAが亡くなり、その相続人が、子B及びCだったとしましょう(法定相続分は2分の1ずつ)。
BとCで遺産分割協議をして、土地名義を変更(相続登記)していればよかったのですが、これがなされずに、次に、Bが亡くなったとします。

Bには、妻であるDと子EとFがいます。この場合には、Bが保有していたAの遺産への法定相続分2分の1の権利が、さらに、DとE、Fに枝分かれ式に承継されていきます。

このケースで、A名義の土地の相続登記(名義変更)をしようと考えた場合には、Cは、D、E、Fを交えて遺産分割協議を行う必要があります。

 

代襲相続の場合

仮に、上記ケースで、Aが亡くなる前に、子Bが亡くなっており、その妻Dと子EFがいるとした場合には、これは、代襲相続になりますので、妻Dは相続人とならずに、C、E、Fが被相続人Aの相続人として遺産分割協議をしていきます。

以上のとおり、数次相続の場合には、代襲相続とは違い、被相続人の次に亡くなった方の配偶者へも権利が承継されていきますので、さらに相続人が増加するということになります(この数次相続が何回か入ると、相続人が枝分かれ式に増大していきます)。

 

兄弟間の代襲相続については、いわゆる再代襲はしない

さらに代襲相続の場合には、兄弟が相続人のケース(被相続人に子がなく、両親も他界しているケース)においては、被相続人の先に、他の兄弟が亡くなっていると、その子(被相続人からみて甥姪)が代襲相続人となります。

さらに、被相続人より、その甥姪である代襲相続人が先に亡くなっているケースにおいては、その亡くなった甥姪の子は代襲相続人にはならないとされています(兄弟相続では、民法889条2項が民法887条3項を準用していないため、再代襲しない)。

しかしながら、数次相続においては、当然のことながら、順次、承継した権利が相続されていくので、兄弟相続の再代襲しないというような制限もありません。

 

まとめ

以上のように、相続の問題を長年放置してしまうと、さらに次の相続が発生してしまい、相続人が枝分かれ式に増えてしまいます。
相続人が増えれば増えるほど、人的な関係性も希薄になり、話合いが困難になることは間違いがありません。

したがって、相続問題については、放置することなく、速やかに解決されることをお勧めいたします。

万が一、相続人が多数になっており、①会ったこともない相続人がいる、②連絡の取れない相続人がいるというような場合には、是非、当事務所へご相談ください(当事務所では、そのようなケースを多く解決しています。)

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